電車を降りて、学校へと向かって歩く。

 隣には、大好きなセンセイがいる。


 昨日までの今頃は、現実が近づくことに胸が痛くて、でも必死に笑っていた。

 今日もそれは変わらないけど、それよりもセンセイの暗さに胸を痛ませていた。


 どうしたんだろう?って気になって。

 あたしのせい?って不安になって。


 センセイの暗い表情を見てると、あたしまで暗い気持ちになってくる。

 心配してしまう。

 笑顔が似合うんだから、センセイには笑顔でいて欲しいって思う。


 だから、あたしが悲しくなってくるんだ。

 大好き、だから。


 必死に笑いかけてみるけど、やっぱり変わらないセンセイの顔。

 もう泣いてしまいそうなほど不安で、心配だった。


「それでね、そのボールがあたしの顔に……」


 必死に笑いながら昨日の体育の話をしていると、


「なあ、」

 急に立ち止まったセンセイがそう言った。


「えっ?」

 そのことに驚いたあたしは、振り返る。


 センセイは頭を掻きながら目を背けていた。


 でもすぐにあたしを真っ直ぐ見つめ、

「お前ってさ……その、か、彼氏とかいんの?」

 なんて、恥ずかしそうに言う。







 油断したら、涙が零れ落ちそうだった。