でも今は、二人だから。


 昔は独りぼっちで外からこの世界を眺めていた。

 でも、少し周りを歩いたら、〝透〟という人を見つけられた。


 それから二人ぼっちで、透の隣で、この世界を眺めたらまだ、心が軽かったんだ。




 ……独りじゃない。


 それが分かっただけで、少し楽になれる。

 どんなに辛くても、前を向ける。


 全部全部、透のおかげだよ。


 またこうやって透に感謝しながら、あたしは明日を生きる決意をした。






「プルルルルッ」


「あ、電車が来た」


 ホームに電車が入ってきて、あたしはその電車に乗ろうと歩き出す。



「待って、叶恋」


「えっ?」

 だけど透に名前を呼ばれ、立ち止まった。



「その……今日はありがとな。お前のおかげで、気持ちが楽だったよ」

 透はそう言って笑う。


 泣きそうだった。

 嬉しくて嬉しくて、仕方がなかった。



「うんっ……」

 あたしはそう言って微笑んだ後、電車の中に入って行った。


 透はそれからあたしの電車が出るまで、ずっとホームにいてくれた……。