駅までの道は、輝いていたけれど。


 その後は、何一つ輝いていなかった。







 {センセイに気持ちをばらさないように}


 そう思って気を付けている内に、自然に見せるフリを身につけてしまった。


 笑い方もどんどん自然で上手くなったし、傷ついても笑って面白くしたり出来るようになった。


 傷ついたら、わざと傷ついたフリをして。

 嘘だよーとか言いながら、心を痛めてた。




 そんなことばかりしていたことに気付いた時、あたしはぎゅぅと心を雑巾のように絞られるみたいな気持ちになった。






 それに、センセイといると実感してしまう。





 16歳と46歳。

 30歳も離れている。


 この、埋められない年齢の違い。

 悔しいけど、センセイの隣に並べるような大人な女性に、あたしはほど遠い。





 あと、立場。

 教師と生徒。


 絶対に恋しちゃダメな関係だ。





 おまけに、家庭。

 センセイは、妻子持ち。


 恋なんて、付き合うなんて、終わったようなものだ。

 センセイには、守るものがある。

 大切な〝家族〟がいるんだ。




 毎日毎日、それを思い知らされる。


 嫌と言っても。目を閉じても。耳を塞いでも。

 現実が、この遠い距離が、あたしを海底へと沈めていく。



 それが、苦しくてたまらなかった。



 センセイの前だから泣けない。

 だから、感情を必死に押し留めてきたんだ。