「そういえば、この前いい曲見つけたんだ!めっちゃリズムがカッコいいの!」
「お前って歌とか好きなん?」
「うん、結構好き!って言っても好きな歌手とかがいるわけじゃないんだよね。流行の歌とかを聴いてるだけ」
「ふーん……じゃあロックとかは?」
「うーん、物によるかな。でも、嫌いじゃないよ!」
「なら、また今度貸してやるよ。俺、好きなバンドあるんだ。気に入るかは分からないけど……」
「本当?ありがとう!あたし、知ってるかな?」
「知らねえと思う。結構マイナーなバンドだから。ま、その時のお楽しみってことで」
「えー!?気になるー!」
「ははっ」
そんな他愛もない会話を繰り広げるあたし達。
こんな風に透と過ごしている時間だけが、本当に笑えてる時間かもしれない。
「あー、明日も学校かぁ」
なんて言いながら、明日も早起きしなくちゃいけないことにため息。
どうせ早起きしたって、待っているのは辛い現実だけなのに。
でも、それでも好きだから。
恋って怖いな……。
あたし達とこの世界には、深い溝がある。
その溝が深すぎて、あたし達は〝世間〟というものに近づくことすら出来ない。
こんなに楽しい今だって、それを感じている。
……でもね。