同じ歩幅。

 同じ歩き方。


 暗くて暗くて、まるであたし達の心のような夜空が、鍵を掛けた思いを溢れ出させる。




「……俺さ、今ものすごく虚しい」


「………うん」


「母さんといると、「ああ、やっぱ好きだな」って思っちまうんだ。そしてまた、切なくなって。毎日毎日、それの繰り返し」


「…………。」


「で、父さんが帰ってきたら現実知って、悲しくなって。最後には虚しくなる。こんな意味もない日々を俺は、もうずっと送ってる。……馬鹿だよな」


「……馬鹿じゃ、ないよ」

 あえて透の顔を見ずに、そう言った。



「え?」


「きっと、それは透が素直だから。純粋だからだよ。」

「傷ついて傷ついて、それでも好きだって思えるのは、もちろん恋してるからでもあるけど、透がね、透が……」



 あたしのことじゃない。

 自分の心にそう何度も言い聞かせるけど、やっぱり切なくて辛くて悲しくて。


 同じ、だから。

 あたしもそんな恋をしてるから。


 痛かったんだ。

 胸が、どうしようもなく痛かったんだ。


 さっきのあの光景。

 透の気持ちを考えたら、泣きそうになった。

 そんな気持ちを透は、どれだけの時間繰り返したのだろうか。