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「瑞姫! こっち空いてる!」






2年生対1年生のミニゲーム。
蘭はいないからトップはわたしだけで。
10人対11人だから、もちろんこっちが不利だ。





でもわたし、あれから湊くんにも教えてもらったし。
部活でもすごく頑張ったから、少しは成長してるかな…?





「杏里!」





杏里の声が聞こえたほうにボールを蹴る。
杏里はそのまま攻めて行く。





「春名!」





どんどんパスを繋いで行く。





やっぱりサッカーって。
信頼関係がないとできないと思う。





上手い下手なんて関係ない。
ひとりひとりのやる気がどれだけあるか。





「瑞姫! 決めてっ」





春名から繋がれたパス。
わたしはボールを受け取って、ディフェンダーをよけながら、ゴールに一直線に進む。





そして思い切り蹴る。





ボールは大きく孤を描いて、ゴールの隅に入った。





「ナイッシュー!」





杏里がわたしの首に手を回して抱きついてくる。




「う…苦しい〜」





みんなで繋いだから。
みんなでゴールしたから。





こんなことは本当は嬉しいんだけどね。