ねぇ、いつか忘れるのかな?
私達のこと。
交わした約束を。
ずっと胸に閉じ込めたまま、
いつか
忘れていくのかな?
忘れないで。
ちっぽけな
15歳の恋愛を。
⭐★⭐★⭐★
「しいなさん?」
今日から高校生活が始まる。
新しいクラス
新しい友達
新しい制服
なにもかもが新しい中で
私は新しい声に出会った。
「あっはい。椎名.....です。」
「あ、ごめんね。声に出しちゃった。」
ははっと笑う彼。
誰だろう。
私の前の席だから、
佐藤とか佐々木とかそんな名前の人だろう。
「.......さわ........?」
「さわたりだよ。」
沢渡
という漢字が読めず悩んでいた私に
優しく教えてくれた。
「お互い、名字の読み方難しいねぇ。ほら、俺さっき声に出して言ったじゃん?あれ、読めなくて苦戦してて、つい、声に出したんだよね。」
沢渡君は
気さくで優しい男の子みたい。
よかった。
前の人が沢渡君で。
『1年間よろしくね。』
私と沢渡君は
声をそろえて言った。