小刻みに震えてる体。




小さな嗚咽。




やっぱり、私は




人を、傷つけるしか出来ないのかな




そう思っていると隣から声が聞こえた。





「僕ね」




その声は私の耳に響いて、私を夢中にさせた。




「幼稚園の先生にも、小学校の先生にも、友達にも、様とかつけられてたの」




「君だけだったんだよ」




「え?」




何が、私だけと。




「この名字で僕を分からない人、君だけだった」




私、だけ?




じゃあ、りりも、あのギャラリーも




彼の正体を知ってた?




「まぁ、その後バラしたら皆と同じ態度になっちゃったし」




「う……ごめんなさ」




「やだ」




遮られて、拒否される。




「えっと…すみませんでした」




「やだ」




「……杏ノ原くん、ごめんね」




「…やだ」





許されるまでやってやる。




何度断られても。




私、こうみえて結構図太いですから。