遡ること、10分前。




私たちは普通の普通に授業を受けてた。




先生も来て、黒板が白に埋め尽くされて、また黒に戻ろうとするとき





「……スー…」





私は隣の杏ノ原くんが寝ていることに気づいた。




いつもは離れている机も、今は隙間がないくらいにくっついて




いつもは離れている体も今は密着しつつもある。




「……杏ノ原くん、起きて」




小声で言いながら、彼の体を揺する。




けど、小さなうめき声しか返ってこなかった。