予鈴がなり、教室に急いで戻っていく生徒。




机の上には次の授業の用意。




私の隣は




「奈乃くん!!教科書まだ持ってないんだよね?貸してあげるよ!!」




「あっ、じゃあ私が!!」




「私も!!」




「私よ!!」




まだ人が集まっており



こんな感じに「誰が杏ノ原くんに教科書を貸すか」という新たな戦争が始まっている。




教師はまだ来ていない、それだけは幸い中の幸いだった。




そんな争奪戦を繰り広げられてる、張本人はというと……





「皆の気持ちは嬉しい」




なんて華麗な断り方と笑顔を振り撒いてらっしゃる。




整った容姿を武器にしているよ!!




いくら冷めた目で見ていた私もズキュンときたよ!!




りりはくだらな~い、といいながらケータイをいじり始めた。






か、カッコいい……!!






私!!生まれてこの方、りりはイケメン好きとしか印象に残ってなかったもので!!




こんなりりが大人っぽいとこを見たの、初めてで感動した!!





……まだキャアキャアと騒いでる私の隣の席。




まだ来ていない先生。




早く来いこと思いながら私もケータイを取り出しだそうと動いた右手が




急に隣の杏ノ原くん側に引き寄せられ、





「この子に借りるから大丈夫だよ!!」





「……へ?」




一斉に女子に睨まれた。