ブブブ…
 携帯がライトを放つ。
 ライトの色は…青。
 仁志だ…。

 『やっぱ、諦められん。どうしても別れないといけないの?』
 
 …ごめんなさい。
 ごめん、ごめん、ごめん…。
 
 ピッピッピッ…

 【一件削除】

 …ごめんね…。
 心の奥でつぶやいて、目を瞑ってボタンを押す。
 仁志とのメールは、私の携帯の中から全て消え去った。

 仁志と付き合っていたのは、たった1ヶ月。
 …いや、1ヶ月もなかった…。
 20日くらいだろうか。
 
 今までもそうだった。
 誰と付き合っても同じなの。
 苦しいの。
 好きになっていく自分が、嫌になってしまう…。
 
 「桂汰、どしたの?」
 「あ、有紀。…何でもないよ」
 気づいたら、隣に有紀がいた。
 三代 有紀。
 幼稚園の頃からの幼なじみ。
 「…また、振った?」
 ギクッ
 条件反射…って、こういうことをいうのかな。
 体は気持ちを抑えられずに、感情を表面に出した。
 「そっか…。しょうがないよ。それは、桂汰の正直な気持ちなんだから。自分責めたらだめだよ?いい?」
 …うん。
 言葉には出さなかったけれど…。
 私は、ただ頷いた。