「なに死にそうな顔してるのよ。死にたいのはこっちよ。百円の花瓶が頭にあたったぐらいで死ぬはずないでしょ!」ー母

(千円の花瓶なら死ぬのか?)僕の心の叫び

「こいつ、浮気してたのよ。こんなオヤジが!オヤジのくせに!私より6つも年寄りのくせに!私より年取ってるくせに!絶対に許せない!!よねっ!」

と、母が問いかけた?

自分より年寄りのオヤジが浮気できて、どうしてこんなジジイより6つも若い自分に彼氏がいないのか、それは納得がいかない。
神が許しても自分は許さない!この現実!!と、僕は解釈した。

しかたない僕は母をなだめるように言った。

「お母さん、ほら、えっと、浮気は男の甲斐性って言うから、えっと、本気じゃないから。」

母の笑顔が消えた。

「出て行け。」

母の瞳が、ぎらりと光った。

「ふたりとも出て行け。」

(はぁ?えっ!!僕もですか?)

僕の心の叫び。

「そうだな。わかった」

父は傷口を手で押さえながら自分の部屋に入って行った。