「…んっ」

「里香!!」

「先生!!里香が目を覚ましました!!」


頭がやけにボーッとして、随分重く感じる。

ズキズキと激しい頭痛もする。

「里香ちゃん、こんにちは。」

「…?」

白衣を着たふくよかなおじさんが私の顔を覗きこむ。

「里香ちゃん、君のみに何が起きていたのか分かるかい?」

おじさんの訳のわからない質問に戸惑いながら首を横に微かに振る。

おじさんわゆっくりと頷いて私の目をじっと見た。


「じゃあ里香ちゃん、君の名前は何かな?」

「…斉藤里香」

「何歳?」

「…10歳」

「何年生?」

「小学…4年生」

「このおじさんとおばさんは誰かな?」

「パパとママ」

おじさんわ笑顔でゆっくり頷くとパパとママに

「記憶障害などの症状は今のところ出ていませんね。」

と、告げた。