私が10年間ずっと求め続けていた、
翡翠色の瞳______












私は理解するのに時間がかかった。



今自分の目の前にいる少年もまた、噂の王子と同じ『翡翠色の瞳』を持つこと。



そして、10年前に出会った『男の子』である可能性があること。







私が色々考えこんでしまっていると、



「大丈夫?」



という、少し控えめな声がした。




その声でやっと我に返った私は



「大丈夫。」

 

と、できるだけ平静を装って答えた。




「…というか、あなたは誰?
どうやってこの部屋に?
先ほどの光はなに?
何の目的でここへ?」



私は自分でも驚くほどの早口で
質問攻めをしていた。



「い、いきなりそんなに質問しないでよ。
ちゃんと説明するからさ。」



彼は困ったような顔でそう言う。



その困った顔は、子犬のような愛くるしさがあり私はつい笑ってしまった。




その様子を見た彼も、つられて笑顔になった。






…つい先ほどまで、頭が混乱していて気付かなかったが、よく見ると彼はかなりの美少年だ。




透き通った白い肌に筋の通った鼻、少し薄めの唇、長い睫毛、そして『翡翠色の瞳』。






___やはり彼はあの時の男の子なんじゃないか





という期待が、私の中で沸々と湧き上がってくる。








「じゃあ、君の質問に答えていくね。」



コクン、と私は頷く。




「まず一つ目は『僕』について。
名前はリオネール・アルファ。歳は18」




「アルファ、さんは私より一つ歳上なのね。」



「さん付けなんてやめてよ。
アルファでいいからさ。」




「じゃあ、アルファ。あなたに最初にどうしても聞いておきたいことがあるの。」



「ん?なんだい?」



私は意を決して言った。




「10年前の満月の夜に、同い年くらいの女の子とお花畑で出会ったことはある?」 




その時私は多くの期待と微かな不安を持ちながら、そう聞いた。
















_____だが、その期待はあっさりと打ち砕かれた。