次の日。私はお母さんとお姉ちゃんと一緒に警察所にいた。
「…ようです。わかりましたか?」
警察の人の話が頭に入ってこない。
私にとってお父さんは特別だった。
優しくて、温かくて。
でもお父さんには一度しか会ったことがない。それにもう、会えないんだ。
「もう一度、お願いします…」
お母さんの声が弱々しい。
目は腫れ、くまができている。
「…ですから、ご主人は深夜、何者かに刺されて死亡しました。犯人は目撃されておらず、捜査は進んでおりません。」
そんな、うそでしょ…?
お父さんが、コロサレタ…?
「そんな…あの人、昨日の朝まで、すごく元気だったのに…電話で、早くかえるって、言ってたのに…なんでっ!なんで…っ」
これほど泣いたお母さんを私は今まで見たことがなかった。