「それじゃあ…病院に電話しますね」


哀れみを込めてあたしは言った。


「昔、僕と会ったこと忘れちゃったの?僕は覚えてるよ、ハルカちゃん」


「な、何で名前知って…」


…うーん、どんなに記憶を辿ってもこんなイケメン……いやいや、こんな変人には会ったことないな…


「ごめんなさい。あたしはあなたが誰だかさっぱりわかりません」


でもこいつ


「君が探してた王子様だよ」

って言った。


あたしが王子様を探してること知ってるなんて…。


「このハンカチ、覚えてない??」


男はポケットからおもむろにハンカチを取り出してあたしに差し出した。


「ハンカチ?誰の?」


カエル柄の薄汚れたハンカチ……あたしのじゃないな。