おばあさんは黙って頷きながら…あたしの手を握ってくれた。
「あたしのせいで…タロウはこんなふうになっちゃったんです…」
涙が止まらない。
「…いいえ、そうじゃないわ」
おばあさんは首を横に振った。
「この子はね、仲良くしていた…信頼していた近所の子供に…傷付けられて…瀕死のところをあなたに助けて貰ったわね?」
「はい…」
「そんな目に合ったら…普通は人間が怖くなってしまうわ。それこそ毎日怯えて生きるように…ね。だけど、タロウはそうはならなかった。どうしてだと思う?」
「…?」
「それ以上に、助けてくれた人間が温かかったからじゃないかしら?」
「あたし…が?」
「タロウのあなたへの感謝の気持ちはきっと計り知れないと思うわ。…だから…あなたも自分のせいで、なんて思わないでね?タロウはあなたに恩返しするのが望みだったのだろうから…」
「…」