その日家に帰ると、お母さんが興奮気味にあたしに近づいて来た。


「ハルカハルカ!ちょっと前にねぇ、家にすっっごくカッコイイ男の子が来て、”その節はお世話になりました”っていうのよ!なんのことか分からなかったけど、とりあえず挨拶しといたわよ。もしかしてハルカの彼氏!?」


…あたしのイケメン好きは親譲りかもしれない。笑


「彼氏じゃないよ。あ、お母さん、あのハンカチ…10年前あたしタロウって子犬にあげたよね?」


「ん?あぁーあー、そういえば家に連れて来たわね!思い出した。」


「あの子犬の家、覚えてる??」


「ちょっと待ってね〜、確かあの後お礼が送られて来て、それに住所が…」


そう言ってお母さんはリビングの引き出しをあさり始めた。