エミは、ポンポンとあたしの頭を叩いた。


「大変だったね。まさかあの男がそこまでとは思わなかったよ。とんだニセ王子だったね!ところで…タロウはどこ行ったの?さっきも追いかけたらもういなくてさ…」


「ん…遠い所へ引越しするみたい。」


「そっかあ、それじゃもう会えないんだね…。家は知ってんの?」


「あ、多分…分かる。」


「引っ越す前にもう一回会ってきたら?」


「え…そっか!」


「?」


タロウが会いに来られないなら、こっちから会いに行けばいいんだ!


「さすがエミ!伊達にタブってないね!」


「なによそれ〜!また怒るよ(笑)」


これからはあたしが会いに行けばいいんだ!タロウもあんな別れ方して、大袈裟なんだから。


…あたしは期待に胸を膨らませていた…。