「ワンちゃん、お名前は?お家どこなの?」


「ハルカ、首輪にプレートがついてるよ。…えっと…」



子犬の名前はタロウ。


家も割と近所だった。


「ママ…ワンちゃん返しちゃうの??」


「ハルカ、この子の飼い主さん、この子が居なくなってきっと探してるよ?」


「わかったよ…ママ。でも今日はハルカと一緒に寝てもいいでしょ?」


「そうね。ケガしてるんだから、気を付けてね。明日ママと一緒にお家に連れていってあげようね」


「はぁ〜い、おやすみなさい」


部屋に入ると、麻酔がきれてタロウが目を覚ました。

「クゥン…」


その目はひどく怯えていた。


無理もない。あんなにひどいことされたんだから。