****
 
「身内で、油を扱ってる人間はいるか?」



近くのファミレスで、テーブルを挟んだ席に座っている相澤が私にそう投げかけた

「油…?お母さんが、化粧品を売ってる…あ、あと。お姉ちゃんがガソリンスタンドでバイトしてるかなぁ。」


「なるほどね…」

納得したような声を漏らす相澤。

そしてテーブルに置いてあった水を手にとり、中身を私の顔面へぶちまけた──。


パシャ─

「っ──!?」

なにすんのよ!!

文句を言おうと口を開こうとした時

「助けて欲しいんだろ?」

その一言に、何も言葉が出せなくなってしまう

そしてゆっくり低い声で
俺を信じて。と、彼はそう言った

もう1つ置かれたコップも手に取ると、同様私にぶっかける。

端から見たら修羅場の様な光景だろう

相澤は店員に水を注文すると、それもまた私にぶっかける──


凝視する客と困り果てる店員には目もくれずに、それを何度か続けた後

「よしっ。これぐらいで良いだろ、もう大丈夫だよ」と彼は笑って見せた