裏切られて可哀想に、って。あなたは何も悪くないよって、同情を求めてた。


そうして甘やかされた環境は、酷く居心地がいいから。


自分の全てを肯定してくれる事に、甘えきってたんだ。


「ごめっ……ね……」


最低だ。


自分が今、どれだけ渓人君に酷いことをしてるのかを思い知って、嗚咽が交じる。


泣きたいのは、私じゃない。


だって渓人君がくれた愛情は、本物だった。


渓人君は本当に、私を好きでいてくれたのに──。


裏切り者はどっちだ、と頭の中で呟いた。


「……恵梨、顔あげて」


静かにそう言われて顔を上げると、渓人君はやっぱり、笑ってた。悲しそうに。


怒ったり、泣いたりしてくれればいいのに、渓人君はいつもそうやって、私が一番きずつかない方法をとる。