お願い、目を覚まして。
それから、なんでもないように笑ってよ。
「木村君……っ」
まだ君に、伝えてないことがあるんだよ。
私……私ね。
木村君の事が───
「ん……」
「──木村君!?」
ふと、掠れた声が聞こえてバッと顔を上げれば、木村君が眩しそうに目を細めていて。
徐々にその瞳が、焦点を合わせながら開いていく。
「あ、れ……沢森?」
そう、名前を呼ばれた瞬間。
私は、大泣きしてしまった。
木村君は無事に目を覚ましたけれど、どこかに異常がないか簡単な検査をするらしく、本人以外は病室の外に出された。
病室の外では、安堵からか木村君のお母さんが泣いていて。
私もまた、泣きそうになる。