掠れた声で謝ると、気にするなと渓人君は言ってくれたけど。
その笑顔が何故だかさみしそうで、胸の奥がじくりと痛んだ。
木村君が搬送された病院は、車で15分ほどの所にあった。
受付で病室を聞いてから、焦る心をどうにか落ち着けながら早足で向かう。
すると、病室の前のソファに木村君のご両親が座っていた。
「木村さん……!理貴君は……」
お父さんが慌てて駆け寄ると、私達に気付いたご両親が顔を上げる。
木村君のお母さんが泣きはらしたような顔をしていたから、思わず足が竦んだ。
……なんで、そんな顔。
最悪の事態ばかりが頭の中を駆け巡って、恐怖に支配される。
有り得ない。まさか。とは思いながら、浮かべてしまうのは『死』の一文字。
そんなに簡単に死なないこと、分かってるけど。