まぁ一番の願いは。
少し先になっても。
美玲が大人になっても。
俺が両親を助けることで二人に余裕ができて、美玲にちゃんと親らしいことをしてほしい。
美玲には親の愛が足りないんだ。
さっきの美玲の涙をみて思い出したこと。
美玲はめったに泣かない。
なのにあれだけぼろぼろと涙をこぼしていて。
目も少し赤かった。
いつだったか、両親が外国にいるときにシステムトラブルがあったらしくて日本に帰ってくることができなかった。
そしてその報告を受けた次の日は美玲の誕生日だった。
両親はやることが多くて、美玲におとなしくするよう説得しただけで、たぶん誕生日のことは忘れていたのだろう。
時差もあったし、美玲が電話口で少しぐずって両親は困っていた。
いつもなら聞き分けのいい美玲がぐずった理由も、自分の誕生日にだけは帰ってきた二人が帰ってこないことになったから。
そして美玲はその日はわんわんと号泣して。
次の日の誕生日は、泣かずに笑顔で過ごしていた。
美玲は、あまり泣かなくなった。
別になかなか会えない両親を恨んでいるわけではないと思う。
たまにかかってくる電話には嬉しそうに出ているし。