しかも親の権力を振りかざしているだけの少女に微塵の恐怖すら抱かない。
それは賢い生徒も同じようだ。
まぁまず、その少女の言葉すら聞こえていない人がほとんどだが。
そしてそんな少しの波乱はあったものの無事終業式は終わった。
俺は美玲のためにすぐに家に帰ったので少女の処分は知らない。
でもこいつらが多分少女の処分を決めたと思う。
「……で、どうなった?」
「保護者への連絡と、二学期から一か月の停学。……まぁでも、親に連絡した時点で多分転校するんじゃないですかね?」
電話口ですっげーキレてましたから、と薄く笑う紫苑。
あの少女が転校して、美玲との関わりが切れることが一番だ。
「悪かったな、任せて…」
教師としての謝罪。
……まぁ、俺は一生教師を続けるつもりなんてない。
ただの社会での経験みたいなもん。
美玲が高校を卒業すれば俺も同時に教師を辞めて、親の会社に入る。
そしてしばらくは社員として働いて、社長の秘書として働いて、会社継ぐつもり。
俺が学生の頃は決められてルートってもんが嫌で反抗していた時期もあった。
だから憧れていた教師になって、親の会社なんてしったこっちゃないって思ってたんだけど…。
教師って意外とめんどくさい。
確かに生徒はかわいい…ってか接しがいがあるし、いいこともある。
でも特にこの学校がそうなのかもしれないけど汚すぎる。
親の顔色を窺って、生徒の顔色を窺って、生徒会のようなたかが生徒のほうが教師よりも権力があるなんて…。
普通なら嫌になる。
まぁ俺は別に気にしないんだけど、客観的にみるとげんなりとしてしまう。
そんなこともあって輝いて見えた仕事は実際にくすんでいた。
それにもう親に反抗なんてしてないし、逆に助けようと思える。
今まで好き勝手した分、親孝行だ。