「……なら、抱っこして」







玲に向かって手を伸ばす。








すると玲はにっこりと笑って、脇に手を入れ抱き上げてくれた。








ぐらつきは多少感じたものの、吐き気はこみあげなかった。






冗談抜きで玲がそばにいるだけで体調は良くなってると思う。







「……熱いな」







玲はそんなことを呟きながらドアへと歩いていく。






そして少しあたしが身を乗り出してドアを開けた。






玲は足で開けるなんてことはしない。







母親か!ってくらいマナーに厳しいのはいつものこと。






玲の部屋は一階にあるので、すぐにリビングについた。






そしてソファーにおろしてくれる。






そのまま寝転がった。







「ちょっと待っといて」







玲はキッチンではなくなぜか棚を漁りだした。





そして持ってきたのは救急箱。







「ほら、熱測って」







差し出された体温計をわきに挟む。






玲はあたしの額に冷えピタを貼ってくれる。






……冷たくて気持ちいい。








おでこのひんやりさに浸っていると、体温計が鳴った。







表示された数字は37.7度。








……下がってる。







「何度だった?」







いつの間にか少し姿が見えなかった玲が手にあたしの着換えを持って戻ってきた。







しゃがみこんだ玲に体温計を渡す。