「……れ、い」
そう小さく呟くと、ふわりと玲の香りが全身を包んだ。
「美玲、落ちるなよ」
そのままゆっくりと持ち上げられた。
ぐらり、と平衡感を失って倒れそうになるけれど玲が腕でちゃんと支えてくれる。
「………れい」
さっきまで焦っていた玲はもうどこにもいない。
ただ包み込むような安心感を持った玲がいた。
「……美玲、すぐ病院行こうな」
だんだんとおさまってくる吐き気。
寂しさの代わりに募る暖かさ。
熱で熱いあたしには玲の体温が冷たく感じるけど、暖かさも感じていた。
「………玲、離れない、で…」
だんだん眠く、沈んでいく意識。
殆ど薄れた意識の中で今日の終業式の原稿内容を思い出していた。
「………美玲、……………か?」