でも吐き気がこみ上げて来て少し上がった体の力を抜いてしまう。






……本格的にやばいなこれ。








なんて思考は冷静でも体は冷静なんてもんじゃない。









「………れぃ。抱っこ、して…」









こんな酷い風邪引いたの久しぶりかもしれない。







一人じゃなくてよかった。








玲がいてくれて、良かった。








こんな時に感じる玲の存在のありがたみ。








あたしは玲と二人暮らしをしている。







家は一軒家だけど二人で暮らしていても広すぎる家。







一人だとどれだけ悲しいんだろう。







親は仕事で海外に住んでいる。







もう何年もずっと。







あたしが小さい頃、ちょうど親の会社は海外進出を果たして軌道に更に乗って来たらしい。







だから親は日本と海外を行ったり来たりであたしと過ごす時間なんて殆どなかった。








でも両親は必ずあたしと玲の誕生日だけは一緒に過ごすようにしてくれた。







もちろんあたしは両親のことが嫌いなんかじゃないし、大切な家族だけど……。







玲がいなかったら孤独を感じていたと思う。






今、こんなことを思い出すのは熱のせいだろうか。








まぁ何を言ってもやっぱり寂しいものは寂しかったもので。









こんなときにその感情が一気に押し寄せてくる気がした。








寂しい、寂しい。








吐き気と共に寂しさも募る。