桜色の髪を花びらと共に風にそよがせながら、リュティアの瞳がまっすぐに、カイだけをみつめていた。

カイの胸はそれだけのことでどうしようもなく騒ぎ出す。

もう最後なのに、この胸にはそれがわからないに違いない。

もう、最後。だからだろうか。リュティアの言葉が、心に沁みわたる。嬉しかった。衝動のままに抱きしめてしまいたいほどに。

だが、紛れもなく彼女はこれから、ライトを探しに行くのだ。

運命の恋人のもとに行くのだ。

だからカイは強く自制心を働かせる。

「それは…肉親に寄せる想いだろう」

自分の傷を自分で抉るような言葉が唇からこぼれ出た。

言ったそばから後悔した。肯定されたら立ち直れないのに、自分はなんてばかなのだろう。

彼女は頷くだろうと思った。

頷くところを見たくないと思った。

それなのにカイは彼女から目を逸らせない。いつまででも、少しでも、見ていたいから。

カイの瞳の中で、彼女は傷ついたように瞳をかげらせこう言った。

「そうであって…ほしいのですね。私たちが、実の兄妹だから…」

「リュー、知って…」

「兄妹だから…!」

リュティアの瞳がみるみるうちに潤む。

「兄妹だから、いけないのですか。こんな気持ちを持っては、いけないのですか…!」

「え……?」

カイの鼓動がドクンとひとつ大きく音を立てる。

耳を疑った。

―“こんな気持ち”…?