「あ、見回り終わりの時間ね。それじゃあね」
あたしが教室に行こうとすると、晴流が腕を掴んだ。
「椎花、桜、見に行こう?」
桜…。
「いいわね、それ」
落ち着かない心も、桜を見れば落ち着くかもしれない。
青には『桜見てくる。少し遅れます』とメールしておいたから大丈夫だろう。
「懐かしい。あたしたち、ここで会ったんだよね」
「俺は会う前から椎花のことしってたけどね」
会う前から知っていた?
なんでだろう。
「それもきっと、いずれわかるよ」
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