助けてもらった咲良でさえ気づかないスピードで、4人とも思わずポカンとしてしまった。
男はおそらく180cm以上あって、目の前で見ると更にすごい迫力があった。
同じく180cm以上ある敦と並ぶとその迫力は更に増した。
敦が男に近寄り、咲良を抱えている男の腕を掴む。
「……助けて頂いてありがとうございます。手を離してもらえますか?」
「あぁ…悪い。気をつけろよ」
腕をぱっと離し、咲良が敦の腕に抱きつく。敦はもう片方の手で咲良の頭を優しく撫でながら続けた。
「何か用ですか?…綾芽に。」
予想外の敦の言葉に驚きつつ男を見ると、男は敦の肩越しに真っ直ぐこちらを見つめていた。
「あぁ、綾芽に会いに来た。」