家族が寝静まった深夜一時。


私はこそこそとヘッドフォンをテレビに装着すると、電気も付けずにテレビだけをつけた。


お目当ては、やっぱり気になっちゃうあの太一のインタビュー。

私は何を見落としたのだろう。

ぼーっと見ながら、ちょっとだけ約束を破ったことを後悔してる。

でも、太一は、あのくれた花みたいに手のひらに乗るような小さな優しいさだから。


――見落としたくないんだ。



そう食い入るように画面を見ていたら、丁度奏が邪魔してきた場面に差しかかる。

野球部の皆がピッチングやキャッチボールをしている場面だ。

太一が一年生に喝を入れているところは、本当にキャプテンらしくて良い緊張感が漂っている。


「でも、どこが見せたくない場面なんだろう。後輩への指導?」

それなら私だって太一よりもっと怖く喝入れてたけど。



「?」

太一の横に、赤いジャージの腰まである黒髪の女の子が色んな場面で映るけど、マネージャーかな?

この子も強豪校の野球部のマネージャーを一人でしているんだね。
知り合いかと凝視するけど、アップで映っているのは無いので分からなかった。


ふむふむと最後まで見たけど、何一つおかしな場面は見つからなかった。

きっと思春期特有の気にしすぎる何かがあるんだろうけど。

発見は出来なかった。