「そこだよな。俺はストレートだけで勝ったら気持ちいいんだけど、相手がストレートばっかじゃないからな」
「そうでしょ! 奏はどうみても変化球なんだから」
ふんっとそっぽをむくと、太一がクスクスと笑う。
「深雪、例えが上手すぎ」
「光栄です」
さっきまで喧嘩していた気がするのに。
太一も私の扱いが上手いよね。
ほんのりと温かい気持ちになる。
オレンジ色のこの一輪の花みたいに。
「お守りを、ね」
「ん?」
私の小幅に合わせて、太一の歩く速度がゆっくりになった。
「太一にお守りを作りたいって思ってるんだけど」
「……まじ?」
目を丸くして驚くけど、迷惑なのか喜んでくれているのかまでは読みとれない。
「その、応援に行ったらダメなら、せめて私の代わりに連れて行ってあげて欲しいけど、
でも、他に貰う予定とか、欲しい子がいるなら……」