「あんたねぇ、一人でしなさいよ。一人で!」
偉そうに言う奏に、すかさず言い返すがどうせ無駄な抵抗だ。
「だってぇ、深雪、俺に教えてても成績上位だし、俺、馬鹿だし」
「勉強しなさい! 勉強を!」
「あはは、お前は俺の母ちゃんか」
本気で怒ってもこの態度なんだから腹立たしい。
「しょうがないよね。俺には深雪が頼りなんだから」
クシャクシャと乱暴に髪を弄られた後、私の返事も待たずに家に帰って行く。
悪気なく、私に頼って甘えて来るから。
だから好き。だから、切ない。
私と奏の間にある感情は余りにも違い過ぎていた。
来週は嫌ってほど、奏と二人っきりになっちゃうのか。
色々複雑だけど、部屋だけは片づけておこう。