奏は、女子バスの四人に囲まれている。
180センチのくせにモデルみたいに小さな顔のこの男は、
人懐っこい笑顔に優しそうな薄茶色の瞳を輝かせ私にまで笑顔を向けて来る。
サラサラの黒髪の前髪をピンで止めて、いかにもチャラそうに着崩した服を着こなして。
「今からバスケ部のみんなでカラオケ行こうって。深雪も来るよな?」
「ええっと、ちょっと用事が……」
今から太一と待ち合わせしてるし、急がなきゃなんだけど。
「えー!? 深雪来ないと後輩たち泣くよー?」
「あはは。ごめん、また誘ってね」
「ぶー!」
ほっぺを膨らませた奏を可愛いと内心で思いつつも、その場を立ち去った。