「ない……」
やってしまった。
カバンを開いてすぐに、忘れものに気づいた。
――英語の宿題ノート忘れてしまってる。
昨日、なかなか終わらず、だらだらと机でしてそのまま寝てしまったんだった。
ひー。しかも、英語は副顧問の凛ちゃん先生じゃんか。
わ――ん。凛ちゃん優しいけど、自分の部活の生徒には厳しいって聞いたことある。
クラスを見渡すが、朝のウチに宿題をやる人も多く、とてもじゃないけど借りれそうにない。
半分以上、部活してるしね、このクラス……。
仕方ない。ルーズリーフにやって帰りまでに提出しよう。昨日やった問題だから、直ぐに終わるはず。
「なあ、深雪、英語の課題なんだけど」
「!?」
「何を驚いてんの?」
制服のシャツを羽織っただけで、だらしなく中の派手なタンクトップを見せながら奏がやってきた。
――日頃、奏に散々小言言ってるくせに忘れたとか格好悪すぎる……。