「ってな訳で、来週の日曜日、俺の誕生日前夜祭に、浜松幼稚園に行くことになったから」

前髪を可愛いピンクのゴムで結んだ奏が朝連の時にそうぽつりと言った。

「日曜に太一が休めるわけないじゃん。幼稚園もお休みでしょ?」

奏は体操服の裾で顔を拭きつつ、にやりと笑う。


「試合の次の日だから勝てば休みって太一が交渉するらしい」


「って、地区予選の大事な初試合じゃない!」

「いいって。練習詰め込んでばっかじゃ駄目だろ? 息抜き息抜き」

「――もう」



ホントに奏の頭の中はおめでたいんだから! 一体昨日、どんな交渉をしたんだろう。


「でも結局、今年も三家族バーベキューは難しいかもな――」

地区予選が始まったら、もう太一は忙しいよね。

梅雨が明けるのが遅かったせいもあるけど。

「でもプレゼントは0時丁度にくれよ」

「はいはい。ほら、ランニング行ってきたら?」

ひらひらと手で追い払うと、奏は部員を集合させて学校の回りを走りに行った。


片や甲子園を目指して頑張ってるのに、奏はマイペースでウチのバスケ部は良くて二回戦止まり。
チームで一体となって頑張ることを目標にしているからか、そこまで優勝に全力じゃない。
 
やっぱり何もかもが反対な二人だなって思う。