「ええ!? それ本気? 奏君なら絶対作ってたよね?」
「なんでそこで奏が出て来るの?」
雑誌を閉じて、美緒ちゃんに渡しながら定期を開く。
交差点を右に曲がればすぐにウチの高校前のバス停だから。
「う~~ん。奏くんになら、深雪ちゃん尽くしちゃうからさ。でもお兄ちゃんにはちょっと意識してるよね~っと思って」
「意識?」
尽くす云々は否定できないかも。バスケ部のマネージャーのはずが、ほぼ奏の面倒も見ている。
ただ、努力して頑張ってる太一を邪魔出来ないなって気持ちは確かにある。
「まァ……。作るだけ作ってみようかな~」
「ふふ。やった! いいお守り用の材料があるから今夜にでも渡しに行くね」
にっこにこと可愛く笑われたらもはや、断れるはずもなく。
でももし、太一の腰に彼女となる人のお守りが見えたら、なんとなく私は寂しくなるんだろうな。
幼馴染のよしみとして付けてくれるだけでも、私は嬉しいのだけれども。