『そうですね、浜松工業高校とは一回負けてますので、やはり気を抜かずに』
「お、もう始めているのか~」
縁側からいきなり現れて、普通にお父さんの横に座ったのは、さっき別れたばかりの奏だ。
ちゃっかりお風呂上がりなようで、タオルで髪を乾かしながら見る。
「太一の方がかっこいいじゃんか」
「ん? 俺の事? 啓」
二人がじゃれ始めたけれど、無視しつつテレビの中にいる太一を見る。
――こんなに凄い人が私の幼馴染なんて。
なんだかちょっぴりくすぐったい。
本当は落ちついてるんじゃなくて、人見知りで照れ屋なんだよー。
「お前、何笑ってるんだよ」
奏がソファから振り返ってこっちを見た。
そしてタオルで私の視界を遮る。
「ちょっと! 前! 見えないでしょ!」
「見せないんだよ、ばーか」
ガシガシとタオルで髪を弄られて、全然画面が見えない!
「俺もこの番組の、イケメン高校生を探せで出たことあるし! 女の子たちの口コミでイケメン探すコーナー!」
「ああ、学校前にスタッフが無許可で高校生にインタビューに現れて、問題になったやつね。学校側から散々苦情が来て、三回目で終わったあの、伝説のコーナーね」
「うるせーやい!!」