勢いよく、坂を下る。

密着した背中が温かい。

おもちゃ箱をひっくり返した、漫画みたいにキラキラ輝く夜空。

その中を、切り裂くように自転車は走り向ける。


時間が止まればいいのにって思った。


熱くてドキドキして、でも届かない。

こんなに切ないなら、ここで時間を止めていたい。

ずっとこの背中を抱きしめていたいんだ。

そう思ったら、幸せなのに、胸が痛かった。