「げ、深雪、顔隠して!」
「へ!?」
「松本に見つかる!」
そう言われて顔を背中に埋めながらも、後ろから怒鳴り声が響いてくる。
校則で禁止の二人乗りを、松本先生が怒っているのは分かったけれど。
「また、お前か! 新道!!」
――また、お前か。
その言葉に胸が痛くなる。
体は熱いのに心が冷めていく感じ。
『もし良かったら、付き合わない?』
そう頬を掻きながら奏はぶっきらぼうに告白する。
いつも一目ぼれ。
だから振られることの方が多いんだけど、『あは。そうだよな、突然ごめんな』て寂しそうに笑うあの姿は見ていて、胸が締め付けられそうだった。
たまに、奏の外見からかOKしてくれる人もいるけれど。
そのせいか長く続かない。
でも『まじで!?』と真っ赤になって喜ぶ奏は可愛くて。
――その笑顔をずっと見ていたいって思っていた。