それからは、最初の3ポイントが嘘かのように、押されて押されて、負けてしまった。

本当に切迫して場面が続く。

時計を見れば、―――とっくに太一の試合は終わっている時間だ。



バスで飛ばせば、最後ぐらいは見れるはずだった距離に居る。
見ないと決めていても、やはり結果が気になる。

休憩時、飲み物や冷却スプレーをバタバタと用意しながら走り回っていたら、向こうの学校の一年がざわざわと話しているのを聞いてしまった。





「18回の延長戦だって」

「18!?」

「何回まで出来んの?」

「50回までらしいよ」


50……。

太一の肩は大丈夫なのかな?


「深雪、蜂蜜レモン食べてもいい?」

奏の声に慌ててベンチへ戻る。


「いいよー!」