スローモーションだった。

慌てて奏を止めようと走り出すが既に遅い。

奏は少しだけジャンプして、真っすぐと腕を伸ばす。

ボールを投げるそのフォームは、指先までも綺麗で、洗礼されていた。



ポンポンポン……



コートに落ちたボールに、一瞬しいんと静まり返った。

私の好きな、奏の3ポイントが、今入ったのだ。

わ――

応援席から一年の歓声が溢れだしてきた。

気づけば、浜松の応援席には保護者はとっくに居なくなっていた。


「やる気がなかったからって、負けた理由になんねーから。
こっちは真剣に勝負してんだ。集中出来ないなら、圧倒的な差で勝つだけだ!」

奏の言葉に、更にウチのチームに活気が溢れて来る。
流石だとしみじみ感心していたのに、その後に続く言葉で台無しになった。


「3ポイント決めて、チューするんだから!」

―――――馬鹿。本当に馬鹿だ。

奏のリア充発言に向こうの士気が上がっていくのが分かる。