以前、奏の誕生日プレゼント選びの時に太一に群がっていた一年だ。
本当によく分かってくれてる。

「太一、肩を痛めてて。きっとそのせいで出れてないと思う」


心配だけど、私は此処から信じて待っていたい。

離れていても、私の心はちゃんと太一を――……。

一年生には口止めはしたけど、理由を聞いて安心してくれたのは嬉しかった。


真夏の空の下、太一が居る球場に思いを馳せながら、ホイッスルが鳴り響く


鳴り響く会場内で、私は奏を真っすぐに見た。




試合が始まってすぐ、奏は私の方へ振り向いた。

そして自信満々な不敵な笑みで、人の波を避けていく。


それ、が何か気付かなかった。

奏は、ジャンプボールで奪ったボールを、そのままキャッチして流れるように進む。

まるで奏以外は止まっているように。

その風を切る姿は、この前のダンスをしている時の奏見みたいだった。