「15-15」


スコアを書きながら、手に汗が滲む。

いつのもほのぼのしたウチのバスケ部が嘘のように、強豪浜松に喰らいついていた。

本当に喰らいつく、がピッタリだ。

ボールを奪われたらやっぱり向こうは流れるようなパス回しで直に点を取る。

ウチのチームはスローパスでゴール下の奏にパスして点を稼ぐ方法しか無くて、とうとう奏に二人もガードが付いてしまった。

もうその手は使えない。

浜松は野球もバスケもスカウトして入っている生徒が多いし、練習量も違うと思う。
なのに必死で喰らいついているのは、奏の作戦と、奏の一人一人の良いところを伸ばす日頃のアドバイスのおかげだと思う。

というか、真面目にしたらウチの部は案外強いのかって私まで驚いてる。


まだまだ決着は着かず、35-35まで来た。


ざわっ


会場の浜松の応援チームが急にざわめいた。
それは、試合そっちのけで野球をスマホで見ていた保護者達からの大きな動揺だった。