「そ。だから今年は梅雨明けたらすぐにバーベキューしようってさ。ウチの親が」
シャーペンをくるくるしながら普段の会話のように言う。
でも。
「ねぇ、今年は太一が投げるなら、もちろん応援に行くんだよね?」
「あ」
ピタリとペンを回す手が止まった。
「去年は学校からバス3台で応援が来たらしいから俺ら行かなくてよくないか?」
「何で、そんなあっさりしてるの――!?」
「俺達、お互いの見に行ったことないよ?」
……そんなものなのかな。
私の試合には二人で見に来てくれてたのに。
男同士だとそんな見に行ったりしないんだ。
「それと、今日は30分、部活の練習遅く始めるから、それまで日程プリントを先生とコピーしてて欲しいんだけど」
太一の甲子園なんてそんな驚くことでもないような態度で、奏は部活の事務連絡をしてきた。
――幼馴染なんてこんなものなんだろうか。
二人ともどんどん遠くに行っちゃうようで私にはよく分からないけど。