何をしても奏は飛びぬけてできた。
同い年の中では一番上手かったし、いつもその背中を必死で追うだけの不器用な私は、心の中で奏に憧れていたのかもしれない。
そんな私を応援してくれたのは太一。
そして。
『……あいつが好き?』
一度だけそう、聞かれた。
確か……私が初めてスタメンに入れて、それが嬉しくてはやく奏と太一に自慢したくて二人を待っていた時だった。
自覚したら、後は堕ちていくだけ。
本当にそう思えるぐらい、簡単に気持ちは溢れて来た。
今でも悔やまれる。
太一があんなこと聞かなかったら、私はあの気持ちに蓋をし続けられたのかもしれない。
「あいつ、本当に鈍いからな」
そう言って立ち上がると、頭をポンポン叩いて、ボーリングの球を持ちあげた