一瞬でチョコバナナの味がしなくなってしまった。
「何の話かなぁ」
「とぼけても無駄！ お兄ちゃんと奏くんの様子ですぐに分かりましたよ！」
美緒ちゃんに言われて、唯に頷かれて。
あ、これ、楽しい女子会じゃなくて尋問なんだと初めて知った。
「いやいや、別に吊るし上げじゃないから。まだ」
「そうです。そうです」
「……えっと、その、ね。太一の嘘のおかげでして。奏から……？」
上手く説明できなくて、一口食べたクレープが、ゴムみたいな味しか感じられなくて飲み込めない。
説明が言い訳にしか感じられなくて、なんだか恥ずかしい。
「奏やっと気付いたんだ。 なんで二人が付き合わなかったのかずっと不思議だったんだよね」
「深雪ちゃんもずっと奏君に片思いしてたから、その、おめでとうございます」
美緒ちゃんが寂しげにそう言うと、ちいさくクレープを齧った。
