でもね、私が恋に落ちたのは、その外見


や澄んだ心じゃないの。



 あれは、確か古典の源氏物語。


私の足元にころころって、消しゴムが転



がってきて、拾ったら消しゴムに拓海って


サインペンで書いてた。


 返そうと思って、斜め前の席の彼を見た


ら爆睡してた。


 休み時間になったら、返そうと思って、


筆箱にしまったら返すの忘れちゃった。



 それからも、授業始まって、筆箱あけて


気づくんだけど、彼やっぱり寝てるの。



 また、休み時間になって私忘れてて、


授業始まって彼は寝てて…


 それを3、4回繰り返したら、好きになっ


ちゃってた。



 その日から、彼は私のキリンさん。